【あの日の昔】
若人達は未来のために学び続ける。
〚ご注意〛
・キャスト様の性別は問いませんが、登場人物の性別変更は不可です。
・一人称、語尾は変えて頂いて大丈夫です。
・アドリブは世界観を壊さない程度でお願いします。
《登場人物》
①友香(ともか)(女性)
タイムトラベルをする高校生。
②美貴(みき)(女性)
友香のタイムトラベルをサポートする高校生。
③智(さとし)(男性)
過去で友香を助ける高校生。
-------❁ ❁ ❁-----ここから本編-----❁ ❁ ❁-------
美貴:「友香!おはよ!修学旅行の行先、希望出した?」
友香:「美貴!おはよう!昨日出したよ。」
美貴:「人数制限あるから、まだ確実とは言えないんだよね〜。」
友香:「お互いに、行けるといいね。」
美貴:「うん。高校の修学旅行で行けるのここの高校だけだもんね。この高校入るために、私は一生懸命頑張った!この努力は報われるはず!」
友香:「うん!絶対行こうね!過去への修学旅行!」
友香:「(M)私達が通うこの高校は、偏差値70の超進学校だ。
毎日勉強漬けで、遊ぶ暇すらない。そんな学校生活の中で唯一の楽しみが、卒業間際に行ける、修学旅行。
まだ発展途上のタイムトラベルを、一介の高校生が体験できるとなれば、希望する者も多い。
だけどタイムトラベルは、現在を変えてしまう危険があること、ほんの些細なことによってどこまで影響が出るか分からないことから、そのシステムが確立された今でも、なかなか国から承認が降りない。
うちの高校は、その実績と、未来へ羽ばたく若人達への学びの場として、国が年に数名、成績上位の生徒だけを選抜して過去に行かせてくれる、唯一の高校だ。」
美貴:「実際に過去に行けるのは審査をクリアした数名でしょ?で、実際に行く人を、こっちからサポートするナビ役として、何人か選抜される、と。」
友香:「本当に狭き門だよね。」
美貴:「何言ってんの!成績優秀、品行方正の友香なら、行けるに決まってんじゃん!
私は最悪、ナビ役でもいいなぁ。疑似体験できるし!」
友香:「え〜、美貴も一緒に行こうよ!」
美貴:「行ければいいけど、審査受かるかなぁ・・・」
友香:「がんばろ!」
美貴:「うん!がんばろ!」
(数日後)
美貴:「友香!おめでとう!」
友香:「ありがとう。・・・美貴は、残念だったね。」
美貴:「まぁ、しょうがないよ。審査パスできなかったんだし。
でも、友香のナビ役になれたから、まぁ、良しとする!私の行きたい所、代わりに行ってきて〜!」
友香:「うん!ピックアップしよっか!」
美貴:「じゃあね〜、水族館で絶滅しちゃった魚見てみたいし〜、若者文化の原宿?行ってみたいし〜、それから〜」
友香:「ちょっとちょっと!行けるのは学びたいところがある場所だよ?それ、理由付けできる?」
美貴:「え〜?いいじゃぁん!」
(数日後)
美貴:「友香、準備はいい?」
友香:「うん、いつでも大丈夫!」
美貴:「じゃあ、始めるよ。ボックスに入って。」
美貴:「システム起動。制御システムオールグリーン。パワー最大。出力最大。
目的地算出。2021年10月15日AM5:00。新宿、都庁の裏路地へ!」
美貴:「(M)システムの稼動音が騒音レベルで鳴り響き、耳を劈く(つんざく)。
友香が入ったボックスが、黄色い光に包まれた。・・・次の瞬間。」
(警告音)
美貴:「え!?何!?何が起こってるの!?
・・・もしかしてこれって・・・
講習で習った、次元の狭間ってやつ!?」
美貴:「(M)次元の狭間とは、いつ起きるか分からないもので、起きている時にタイムトラベルをしてしまうと、どこに飛ばされるか分からない。」
美貴:「起きてしまった時は、出力、パワーを最小限にして、システムをロック!
オッケー!」
(警告音)
美貴:「え!?なんで!?止まらない!!
もう一回、ロック!!
!?どうして!?」
美貴:「(M)システムはどうしても止まらなかった。そうこうしているうちに、光が強くなる。」
美貴:「何も見えない!友香ーーー!!!」
美貴:「(M)システムは、バシュ!!と音を立てた後、動きを止めた。」
美貴:「(M)友香が入っていたボックスの中。そこに友香の姿はなかった。」
(過去)
智:「今日は日直だから、早めに行かないと。
朝の学校って好きなんだよな。」
智:「(M)いつもより早めに登校すると、道に人はまばらで、爽やかな朝の空気が佇んでいた。」
智:「(M)すると突然、空に閃光が瞬き、一瞬何も見えなくなった。」
智:「!?なんだ!?何も見えない!!」
智:「(M)目をこらすと、光の先に、女の子が・・・」
(友香落ちてくる)
智:「!?え!?女の子!?
・・・・・・・・え!?」
(友香、智の上に落ちてくる)
智:「ぎゃ!!」
友香:「きゃ!!」
友香:「(起き上がりながら)いたたたた・・・。
!?ここはどこ!?今、一体いつ!?」
智:「(起き上がりながら)いってぇぇ。
なんだなんだ!?どういうこと!?」
友香:「あ、下敷きにしてしまってごめんなさい!」
智:「え!?あんた一体どこから!?空から!?光が見えたと思ったら突然現れて・・・。え!?」
友香:「ごめんなさい!今が一体いつで、ここはどこなのか教えて!」
智:「え!?むしろなんであんたが空から降ってきたのか教えてくれよ!」
友香:「今、いつ!?ここどこ!?」
智:「意味わかんないんだけど・・・」
友香:「教えて!」
智:「え・・・?今は10月3日の、ここは仙台だけど・・・」
友香:「何年!?」
智:「え?」
友香:「西暦何年!?」
智:「・・・2021年・・・」
友香:「(ブツブツつぶやくように)あぁ、時はそんなに違ってない。場所は全然違うけど・・・。仙台ってどこ?東京都ではないよね。」
智:「東北だよ。宮城県。」
友香:「東北!?
(ブツブツつぶやくように)どうしよう。このくらいの誤差なら見つけてくれるかな・・・。こっちの通信システムは生きてるし、あっちが回復さえすれば・・・」
智:「なぁ。」
友香:「(ブツブツつぶやくように)あー、でも回復するとしてもどのくらい時間がかかるか分からないし・・・・」
智:「なぁ!」
友香:「(ブツブツつぶやくように)でも最悪通信システムさえ繋がれば、こっちの状況は・・・。」
智:「なぁってば!!!」
友香:「!?はい!!」
智:「あんたなんなんだ?状況を説明して欲しいんだけど!」
友香:「あぁ、ごめんなさい。」
(つぶやくように)この場合仕方ないわよね・・・。」
友香:「私、未来から来たの。お願い!助けて!」
智:「・・・はぁ!?」
(現在)
美貴:「先生!!友香は無事ですか!!見つかりますか!?」
美貴:「(M)先生に報告すると、友香を転送する時の次元の狭間が大きすぎて、システムが正常に作動しなかったということだった。
ただ、追跡機能と、友香の通信システムが生きていることから、システムが回復すれば友香を見つけることは容易いそうだ。」
美貴:「早く直してください!早く早く!!
友香!待っててね!すぐだからね!」
(過去)
智:「えっと?
あんたは未来から来て、そのタイムトラベルをする時に、システムが何らかのエラーを起こして、予期せぬところに飛ばされた。」
友香:「うん。」
智:「で、システムが回復すれば連絡が取れるから、それまで面倒見て欲しい、と。」
友香:「うんうん。」
智:「システムが回復して連絡が取れれば、俺の、あんたと一緒にいた時の記憶は消される?」
友香:「うんうんうん。」
智:「・・・なんじゃそりゃ!!
自分勝手にも程があるだろ!!」
友香:「重々わかってます!
でも今頼れるのはあなたしかいないの!
東京だったら講習を受けて勉強してたんだけど、場所が違うともうどこに行っていいやら・・・。」
智:「だから、あんたの話自体も眉唾なのに、なんで記憶消される前提で助けなきゃなんねーんだよ。
俺今日日直だし、もう行くぞ。」
友香:「待って待って待って〜!
せめてどこにいたらいいか教えて!
システム直るのいつになるか分からないし、連絡来るのも・・・。
なんか泊まるとことか、高校生がいても変じゃないとことか!
あんまり人に関わっちゃいけないし、下敷にしたよしみで〜!」
智:「なんで人に関わっちゃいけないんだよ!警察にでもいけよ!」
友香:「だってどこで何が変わるかわかんないんだもん!」
智:「変わるって何が!」
友香:「過去に干渉すると、未来がどう変わっちゃうか分からないってこと!」
智:「・・・え?」
友香:「だから、私が関わったことで、その人の未来が何か変わっちゃうかもしれないの!」
智:「え!?」
友香:「変えるリスクを抑えるために、どうしても協力者が必要なのよ!」
智:「え!?俺は!?俺の未来は!?」
友香:「だから!記憶を消すんじゃない!
不特定多数の人の記憶に残るのはまずいけど、あなた一人なら、元に戻すことが可能だから!」
智:「・・・」
友香:「むしろ私と一緒にいて、記憶消してもらった方がいいと思います。お願いします。」
智:「・・・」
友香:「・・・」
智:「・・・わかった。」
友香:「・・・え?」
智:「わかったよ!協力するよ!」
友香:「ありがとう!!」
智:「でも、高校生が協力できることなんて、たかが知れてるけどな!」
友香:「十分だよ!」
(現在)
美貴:「(M)あれから、ずっと復旧作業が続いている。
話によると、次元の狭間によって、ここまで大きなシステム障害が起こったことは、今まで例にないそうだ。
現状、タイムトラベルは出来ないが、追跡機能で友香の居場所はわかっているらしい。通信機能の回復も、もう間もなくとのことだ。」
美貴:「友香・・・。今頃どうしてるかなぁ・・・。無理してないといいけど・・・。」
(過去)
智:「俺が案内できる隠れ場所って、ここくらいなんだよな・・・。」
友香:「ここ・・・。学校の屋上?」
智:「ここ、立ち入り禁止だから、人は来ないし。
智:俺、今週日直で、屋上倉庫に荷物運ぶ手伝いしてて、たまたまカギ持ってたんだ。
おまえ、ついてるな。」
友香:「そっかぁ。学校の屋上なんて、初めて入った。」
智:「何?未来には屋上ないの?」
友香:「あるんだろうけど、未来では、基本家でリモート授業だから。全部家で学べちゃうの。」
智:「えー・・・。それって友達できる?つまんなそ〜。」
友香:「も〜!できるよ〜!
通信システムでみんなと繋がるし、合わない人とはつるまなくていいし、結構楽だと思うよ?
ここだと、いちいち学校に来て、授業受けて、家に帰って・・・って、毎日やるんでしょ?」
智:「まあ確かにめんどくさいけど、めんどくさい事にこそ、豊かさがあると思ってるし。」
友香:「どういうこと?」
智:「めんどくさい事って、生活を豊かにしてくれると思うんだ。
確かに合理的に全てを進められたら、スムーズに進むんだろうけど。
登校する時の朝の空気感とか、気持ちいいんだぞ。屋上倉庫に荷物を運ぶのも、立ち入り禁止になってる屋上で、街を眺めながら風受けたりして、街を独り占めした気分になれるしな。」
友香:「へ〜・・・。考えたことなかった・・・。」
智:「ま、そうやってめんどくさい事いっぱいやった方が、人生楽しめるってもんよ!」
友香:「ふぅ〜ん。・・・そっかぁ・・・。」
友香:「(M)今まで考えたこともなかったのに、智君と話をしていると、素直に共感できるから不思議だ。」
友香:「今度、私も早起きして、外でてみようかなぁ・・・。」
智:「してみろよ!オススメだぞ。
ちなみに今の季節がいいんだよ。秋の日の朝に、太陽の下のんびり歩くのは、格別なんだ!」
友香:「うん!やってみる!」
智:「さてと、俺はそろそろ授業に行くな。定期的に様子見に来るけど、静かに隠れてろよ。見つかったら事だからな!」
友香:「うん、わかった。大人しくしてる。ありがとね!」
智:「おう!」
友香:「はぁ・・・。さてと。通信システムが回復するまで、待ちますかぁ。」
(ピピピッと電子音がなる)
美貴:「友香?友香?聞こえる?」
友香:「美貴!?聞こえるよ!」
美貴:「良かった!友香、大丈夫?怪我とかしてない?」
友香:「うん、大丈夫!」
美貴:「そう、ほんと良かった!」
友香:「美貴の方は大丈夫?」
美貴:「大丈夫だよ!システムも、今復旧作業してる。」
友香:「そっかぁ。よかったぁ。どのくらいで復旧しそうなの?」
美貴:「夜にはできそうって言ってる。
友香は今どこにいるの?」
友香:「今、宮城県の高校の屋上に、匿ってもらってる。
あ、そうだ!」
美貴:「なに?」
友香:「過去に来た時、ちょうど人の真上に落ちちゃって・・・。
右も左も分からないし、どうしようもなくて。
未来から来た事を話して、協力してもらってる人がいるの。
記憶消すことも了承してもらってる。」
美貴:「そうなんだ。オッケー。先生に伝えて、記憶除去装置の準備してもらっとく。」
友香:「ありがとう。お願いね。」
美貴:「うん。任せて。システムが直ったら、また連絡するね。もうちょっと待ってて。」
友香:「うん。ありがとう。待ってるね。」
(通信が切れる)
友香:「通信システムが復活してよかった。あとは待つだけね。」
(少しの間)
智:「おおい、お待たせ。」
友香:「あ、智君。・・・なぁに、それ?」
智:「お昼ごはんだよ。」
友香:「お昼ごはん?」
智:「まさか・・・未来にはごはんもないのか!?」
友香:「ごはんは・・・私たちはキューブって呼んでるんだけど、1センチ四方の大きさの粒でね。食べるとそれだけでおなかいっぱいになるんだ。」
智:「キューブ!?」
友香:「うん。」
智:「それ美味しいのか?」
友香:「美味しいっていうか、栄養取れればそれで十分だから。」
智:「それマジで言ってんのか!?」
友香:「え?」
智:「・・・ああ、もう!何も言わずにこれ食べてみろ!購買の焼きそばパンだ!
いつも売り切れで買えないんだぞ!今日は運良く買えたから、分けてやる!」
友香:「えぇ?・・・これもめんどくさい事?」
智:「そうだ!焼きそばパン!美味しいんだぞ!」
友香:「・・・ふーん。
(食べる)・・・!おいしい!!」
智:「だろぉ!ふふん!」
友香:「えー!?こんな美味しいんだ!(夢中になって食べる)」
智:「食え食え!全部お前にやるよ!」
友香:「(食べながら)ふん!あいがこ!(うん!ありがと!)」
智:「よしよし!」
(少しの間)
友香:「ご馳走様でした。」
智:「お粗末さまでした。」
友香:「粗末じゃなかったけどね。」
智:「そうだろそうだろ!」
友香:「あ、そういえば、さっき未来と通信できて、今日の夜にはシステムが復旧しそうって。」
智:「そうか!よかったな!」
友香:「うん、色々ありがとね。」
智:「どういたしまして。
じゃあ授業終わったら、また来るな。大人しくしてろよ!」
友香:「うん!」
友香:(本当にありがたいな。お世話になりっぱなし。何か返せればいいんだけど・・・。何か残す訳には行かないしなぁ・・・。忘れちゃうわけだし。)
友香:(・・・忘れちゃうのかぁ・・・。)
友香:「(M)忘れられてしまうことに、少し寂しさを感じていた。
ひょんなことから巻き込んでしまったけれど、出会えたのが智君で、本当に良かったと思う。」
友香:「(なんでかは分からないけど、話してるとほっとするというか・・・。なんでだろ?)」
──(放課後)───
智:「だいぶ人も閑散としてきたし、どっか見てみたいとことかある?この近くだと、河原とか、田んぼしかないけど。」
友香:「あ、じゃあ学校の中が見てみたい!」
智:「え?学校?なんで?」
友香:「未来には、学校ってないんだよね。みんなで集まって勉強するとかないから。」
智:「そっか。じゃあ教室とか体育館とか見てみる?面白いものはなんにもないけど。」
友香:「うん!」
(少しの間)
友香:「ここでみんなで勉強してるんだね。へー。座ってみていい?」
智:「うん、いいよ。」
友香:「(座る)わ!椅子固くない?これで勉強捗る?」
智:「ははっ!確かに!」
友香:「あれはなんて言うの?」
智:「ああ、あれ?黒板っていうんだ。先生が黒板にチョークで文字とか図とか書いて、生徒に説明するためのもの。」
友香:「へー。書いてみてもいい?」
智:「いいけど、未来には黒板もないのか?」
友香:「うん。全部通信システムで事足りるもん。
(黒板に文字を書く)あーりーがーとーうーっと。
縦に書くの難しいね。
わっ!手が真っ白!」
智:「はははははっ!チョークはそうなるんだよ(笑)」
友香:「(手を叩いて粉を払う)もう!先に言ってよね!」
智:「わるいわるい!(笑)」
友香:「未来にはない物がいっぱいあって、面白いね!」
智:「そうかぁ?俺にはいつも通りだからわからん。
でも、授業中、隠れてマンガのやり取りしたり、先生が見てないとこで変顔したりするのは面白いぞ。こうやって!(変顔)」
友香:「あはははっ!なにそれ!もう!おかしい!(大笑い)」
(ピピピッと電子音がなる)
美貴:「友香?聞こえる?」
友香:「あ、美貴!聞こえるよ!」
美貴:「システムの機能が回復したの。これでもういつでも戻れるよ。」
友香:「よかった!」
智:「よかったな!」
美貴:「・・あなたは、友香を助けてくれた人ですか?」
智:「え!?あ、はい!
(友香に向かって小声で)なんだ?このまま話して聞こえるのか?どういうシステムなんだ?」
友香:「聞こえるよ。システムの説明は省かせて頂きまぁす。」
智:「あ、なんだよ、教えろよ。」
美貴:「ふふふっ!随分仲良しになったみたいだね。
友香がお世話になりました。予期せぬ出来事だったから、私も友香もパニックになっちゃって。本当にありがとうございます。」
智:「え!?いや、俺は何もしてないから。ただ居場所を提供しただけで。しかも屋上だし・・・。」
美貴:「それでも、被害を最小限にできたのは、あなたのおかげです。本当にありがとうございます。」
智:「え?いや、とんでもない。」
友香:「本当だよ。本当にありがとう。」
美貴:「友香はこれからタイムトラベルでこちらに戻ってくるわけだけど、あなたにも、記憶を消す処置をさせて頂きます。これは私では出来ないから、こっちの専門家があなたの元へ行くと思うので、指示に従ってください。」
智:「分かりました。」
友香:「痛くないから、大丈夫だよ。」
智:「そんなこと心配してねぇよ。」
美貴:「ふふっ!じゃあ、始めるけど、大丈夫?」
友香:「うん・・・。」
(友香、光に包まれ始める)
智:「気をつけて帰れよ。」
友香:「うん・・・。本当にありがとうね!予想外の出来事だったけど、智君と出会えてよかった!」
智:「うん。俺も楽しかった。記憶は消されちゃうけど、俺もお前と出会えてよかったよ。」
友香:「・・・智君。」
智:「ん?」
友香:「(ほっぺにキス)」
智:「!?」
友香:「なんにも残せないから!せめてものお礼!本当にありがとう!!」
智:「・・・(恥ずかしそうに)おう!」
友香:「バイバイ!」
(友香、消える)
智:「行ったか・・・。あっという間だったな。」
(現在)
美貴:「友香!」
友香:「美貴!」
(抱き合う)
美貴:「よかった!!ほんとによかった!!」
友香:「うん!ありがとう、美貴!ごめんね、心配かけて。」
美貴:「ううん!友香が無事ならいいの!
私も制御できなくてごめんね。」
友香:「それは美貴のせいじゃないでしょ?あんなの、予想できないもん。」
美貴:「・・・うん、ありがと!ありがと、友香〜!!」
友香:「(ボソッと)・・・それに、なんだかんだ楽しかったし・・・。」
美貴:「・・・ん〜?ほほぉ?そっかぁ。」
友香:「・・・なに?」
美貴:「なんでもなぁい!」
友香:「なによ〜!」
美貴:「なんでもないって〜!」
(二人笑い合う)
(数日後)
友香:「(M)今回のイレギュラーなタイムトラベルは、次元の狭間のこともあって、世間でも色々騒がれた。
システムを再度見直し、改善されるまでは、タイムトラベル自体を見合わせるそうだ。
もしかしたら、高校生でタイムトラベル出来るのも、私達で最後かもしれない。
それでも、智君と出会えたことは幸運だったと思うし、私にはいい思い出だ。」
(ちょっとの間)
美貴:「友香〜!!なんかすっごいこと聞いたんだけど!聞いて聞いて!」
友香:「なに?」
美貴:「実はね・・・」
(しばらくの間・過去)
智:「(M)友香が帰った後、俺の元には記憶を消去するために何人かの専門家の人達が来ていた。
その中の一人が、面白いことを教えてくれた。
実は、俺は友香の御先祖に当たるそうだ。
つまり友香の、おじいさんのおじいさんのおじいさんのおじいさんのおじいさんのおじいさん辺りか?
それを聞いて、なんであんな突拍子もない話を信じられたのか、なんで守ってやんなきゃと思ったのか、わかったような気がした。
遺伝子レベルで、お前との血の繋がりを感じてたのかもな!
俺は記憶をなくすけど、教えてくれたその人が、手紙でも残したら、もしかしたら未来で読むかもしれませんよって教えてくれたから、簡単だけど、残すことにした。
お前の手に渡るかは、数万分の一の可能性だと思うけど、読んでくれることを祈ってるよ。
俺もお前と過ごした一日は、短い時間だったけど本当に楽しかった!
めんどくさい事を、楽しみに変えて生きていけよ!じゃあな!」
(現在)
友香:「(M)私はその手紙を、無事受け取ることが出来た。
手紙は私の自宅の、古い蔵から、ボロボロになって出てきた。
煤けて真っ黒になった封筒に、唯一『友香へ』という文字だけがかすかに読める。
それを今の技術で、読めるレベルまで復元してもらったのだ。
紙もボロボロで、復元してもすぐ破れるほどに脆いけど、私はそれを破れないように袋に入れて、毎日持ち歩いている。
智君との思い出を胸に秘めて。」
友香:「じゃあ、朝の散歩に行ってきまぁす!!」
END
あなたもジンドゥーで無料ホームページを。 無料新規登録は https://jp.jimdo.com から