シナリオ

【空色の店〜アニマイデア〜】


困ったり悩んだりしている時にだけ、あなたの前に現れる空色の店。



〚ご注意〛

・全キャラ性別不問です。

・キャスト様の性別は問いません。

・アドリブは、世界観を壊さない程度でお願いします。

・一人称、語尾等の変更はOKです。



‪《登場人物》

①空(そら)

空色の店の店主。

性別不問


②ヒメル

空と一緒にいるネコ。

性別不問


③ポコ

ねんちゃんのボディガード。

・・・だと思ってる犬。

性別不問




-------❁ ❁ ❁-----ここから本編-----❁ ❁ ❁-------



ヒメル:「(N)あなたが住み慣れている街に、ふと、見覚えのない路地があったら・・・。

心のままに覗いて見てください。

きっとそこには、あなたが望んでいるものがある・・・かもしれません。」






ヒメル:「んー!今日は暖かいなぁ!」

空:「そうだね。今日みたいな日は、中庭でお茶しながら本でも読みたいな。」

ヒメル:「うんうん!私は日向ぼっこしながらお昼寝したい!」

空:「じゃあお茶の用意をして、中庭でのんびり過ごそうか。」

ヒメル:「賛成!」

空:「今日みたいな暖かい日は、何を飲もうかな。」

ヒメル:「うんとね〜、なんだろ〜?なんか、ほわほわっとした〜、ふわふわっとしたのが飲みたいな!」

空:「ほわほわ・・・ふわふわ・・・。」

ヒメル:「うん!今日みたいな暖かい日にピッタリじゃない?」

空:「うーん、そうだなぁ・・・。

うん、じゃあこれにしよう!」

ヒメル:「なぁに?」

空:「まあ、見ててごらん。」

ヒメル:「うん!」

空:「まず、ホットミルクを用意して・・・、それにハチミツを溶かす。」

ヒメル:「わぁ!もうそれだけで美味しそう!!」

空:「それを3:1に分けて、1の方を・・・」

ヒメル:「1の方を?」

空:「ミルクフォーマーで泡立てる。」

ヒメル:「ミルクフォーマーって何?」

空:「小さな電動の泡立て器みたいだものだよ。これを使うとふわふわの泡ができるんだ。」

ヒメル:「わぁ!すごい!泡立ってきた!」

空:「ミルクフォーマーを使って泡立てると、泡がふわふわのホワホワになるんだよね。」

ヒメル:「ほんとだほんとだ!!」

空:「それをさっきの残りのホットミルクの上に乗せると・・・。」

ヒメル:「わぁーー!!おいしそう!!」

空:「簡単だけど、ふわふわホワホワのホットミルクだよ。」

ヒメル:「ステキステキ!!これを飲んでお昼寝したら、雲の上にいる夢が見られそう!!」

空:「じゃあ、中庭に行こうか。」

ヒメル:「うん!

・・・・・・あ・・・。」

空:「・・・あ・・・。」

ヒメル:「誰か来たね?」

空:「うん、お客さまだね。」

ヒメル:「ずんずん来るね。」

空:「そうだね、ずんずん来るね。」

ヒメル:「空、ホットミルク、三人分ある?」

空:「うん、三人分用意するよ。」

ヒメル:「じゃあ安心だ!」

空:「ははは、ヒメルは食いしん坊だなぁ。」

ヒメル:「だって空が入れてくれるものは、全部美味しいんだもぉん。」




(外からドアをガリガリする音がする)




ヒメル:「あれ?入ってこないね?」

空:「ガリガリ引っ掻いてるのかな?」


(空、ドアを開ける)


空:「おや?今日はとっても小さいお客さんだ。」

ポコ:「わん!」

ヒメル:「え!?犬!?」

ポコ:「わんわん!」

空:「みたいだね。

こんにちは、おちびさん。」

ポコ:「わん!」

空:「さぁ、どうぞ、中にお入り。」

ポコ:「わわん!」

空:「ヒメル、話している事、分かるかい?」

ヒメル:「私、人語と猫語はわかるけど、犬語はちょっと・・・。」

空:「そうかぁ。」

ポコ:「わん!わわん!わんわん!」

空:「じゃあ、あれを用意して・・・。」


(空、奥に消える)


ヒメル:「え!?空!!二人にしないでよ!犬と二人なんて!!」

ポコ:「わんわん!」

空:「(遠くから)え〜?同じ動物だろ?人も猫も犬も、皆哺乳類。皆仲良し仲良し。」

ヒメル:「そんなこと言われても!」

ポコ:「わんわん!!」

ヒメル:「ひゃ!」

空:「(遠くから)大きさもそんなに変わらないじゃないか。子犬の柴犬と大人のヒメル。お姉さんなんだから、仲良く仲良く。」

ヒメル:「無理言わないでよ〜!!」

空:「よし!あったよ。

ヒメル、これを耳に貼って。」

ヒメル:「なぁに?これ?」

空:「これはアニマイデアと言ってね、耳に貼ると、不思議なことに、動物の言葉が分かるようになっちゃうんだ。」

ヒメル:「へ〜?こんな赤い丸シールを貼るだけで?」

空:「そうだよ。便利だろう?」

ヒメル:「まぁ、空の言うことだし、貼ってみるけど・・・。」

空:「さぁ、柴犬君も耳に失礼するよ。」


(空、柴犬の耳にアニマイデアを貼る)


空:「さて、準備は整った。君のお名前は?」

ポコ:「オレ!ポコ!ねんちゃんのボディーガードだぞ!」

ヒメル:「空、言葉はわかるけど・・・、この子何言ってるんだろう?」

ポコ:「ねんちゃんはオレが守ってるんだぞ!」

空:「そうなんだね。何から守っているのかな?」

ポコ:「ねんちゃんを連れ去る悪いやつからだぞ!」

ヒメル:「連れ去る?」

ポコ:「そうだぞ!何日かに一回、ねんちゃんを連れ去るんだぞ!」

ヒメル:「・・・結構頻繁に連れ去られてるね・・・。」

空:「ポコくん、もう少し詳しく話してくれるかな?

ねんちゃんは、連れ去られても、戻ってくるのかな?」

ポコ:「戻ってくるぞ!ただいま〜って、笑顔で帰ってくるぞ!」

ヒメル:「・・・ん?笑顔で?」

ポコ:「そうだぞ!笑顔でだぞ!

オレまでうれしくなっちゃう笑顔だぞ!

連れ去られる時、オレは何とかねんちゃんを守ろうとするんだけど、敵は大きくて強いんだぞ!」

空:「敵はどんなやつなのかな?」

ポコ:「ねんちゃんよりもおっきいぞ!重い荷物も軽々運ぶぞ!

ねんちゃんの荷物も軽々持ってるぞ!」

ヒメル:「・・・・・・えーっと・・・これは・・・。」

空:「・・・うーんと、そうだね・・・。

とりあえず、ホットミルクでも飲みながら、落ち着こうか。」

ポコ:「ん?オレ、落ち着いてるぞ!ねんちゃんを守るんだぞ!」

ヒメル:「まぁまぁ、ホットミルク飲んでからでも遅くないよ。おいしいから、飲んでみようよ。」

ポコ:「なに!?うまいのか!?」

空:「今用意するから、待っておいで。」

ポコ:「おう!待ってるぞ!」






(少しの間)






ポコ:「なんだこれ!なんだこれ!フワフワだぞ!」

ヒメル:「ホットミルクの上に、泡立てたホットミルクを(乗せてるんだよ。)」

ポコ:「(聞いてない)わぁ!ふわふわで甘いぞ!

(顔を泡に突っ込みながら)下には甘くてあったかいミルクがあるぞ!」

ヒメル:「あぁ!まったく!泡を飛び散らせて!」

ポコ:「うまいぞ!うまいぞ!」

空:「それは良かった。オカワリもあるから欲しい時は言ってね。」

ポコ:「(顔を上げる)オカワリ!」

ヒメル:「ぎゃあ!顔中泡だらけだよ!」

空:「はははっ!まず顔を拭いてから、オカワリをあげるね。」

ポコ:「む?なにかおかしいか?」

ヒメル:「ぷっ!まったくもう!あははっ!」

ポコ:「ぬ?」

空:「ほら、ポコくん、こっちに顔を向けて。」

ポコ:「ん?なんだ?」

空:「キレイにしてあげるよ。」


(空、ポコの顔を拭く)


ポコ:「ん、んんー、ん」

空:「はい、できたよ。」

ヒメル:「もうちょっと落ち着いて、顔を突っ込まないで飲めないの?」

ポコ:「オレ、落ち着いてるぞ?」

空:「じゃあ、オカワリここに置くね。」

ポコ:「っ!(顔を突っ込む)」

ヒメル:「ははっ、もう、また!しょうがないんだからぁ!」

空:「喜んでくれて、僕も嬉しいよ。

さ、ヒメルもどうぞ。」

ヒメル:「わぁい♪ありがと!」

空:「ヒメルはちゃんと飲めるかな?」

ヒメル:「当たり前でしょ?私は大人よ?ポコくんと一緒にしないでよ。」

ポコ:「ん?お前それいらないのか?残してるのか?」

ヒメル:「今から飲むのよ!あんたは自分の分があるでしょ?」

ポコ:「おぉ!そうだ!これはオレのだぞ!」

ヒメル:「誰も取らないからゆっくり飲んでよ。」

空:「ははっ。じゃあ僕もいただこうかな。」

ヒメル:「ゆったりティータイムのはずが、とんだハチャメチャティータイムになっちゃった。」

空:「まぁ、それも楽しくていいじゃないか。」

ポコ:「楽しいのはいいことだぞ!!」

ヒメル:「・・・はいはい。」





(少しの間)





空:「じゃあポコくん、喉が潤ったところで、お話聞かせてくれないかな?」

ポコ:「おう!ねんちゃんをさらう、あいつの話だな!」

ヒメル:「攫うって・・・でも戻ってくるんでしょ?満面の笑顔で。」

ポコ:「さらわれてるのに、不思議なんだぞ!」

ヒメル:「それって、本当に攫われてるの?」

ポコ:「そうだぞ!」

ヒメル:「どうやって?」

ポコ:「丸い足がよっつ付いてる、大きな四角いやつの中に入っていくぞ!」

ヒメル:「・・・車かな?」

空:「車だね。

ねんちゃんが無理やりそれに乗せられるのかな?」

ポコ:「ううん、悪いやつが穴を開けて、そこからねんちゃんが入るんだぞ!」

ヒメル:「・・・扉を開けて、車にねんちゃんが、乗り込んでるってことかな?」

空:「・・・たぶん、そういう事だね。」

ヒメル:「それは・・・さぁ、ねぇ?」

ポコ:「悪いやつだろ?オレがやめろって言っても、そいつ聞かないんだぞ!」

空:「ねんちゃんより大きくて、力持ち。ねんちゃんを車で迎えに来て、荷物を持って扉を開けて、エスコートしている。」

ポコ:「えすこーと?えすこーとってなんだ?」

空:「帰ってくる時のねんちゃんは満面の笑み・・・。」

ヒメル:「・・・。」

空:「・・・。」

ヒメル:「ポコくん。」

ポコ:「なんだ?」

ヒメル:「それはねんちゃんを攫ってるんじゃなくて、デートしてるんだよ。」

ポコ:「でーと?」

空:「うーんと、ねんちゃんは、ポコくんと同じくらい、その人の事が好きで、一緒にいたいと思ってるんだ。」

ポコ:「ねんちゃんは、あんなやつよりオレの方が好きだぞ!オレ、ねんちゃんとずーっと一緒にいるんだぞ!」

ヒメル:「うん、ポコくんとはね。だけど、ねんちゃんは、その人とはずっと一緒には居られない。だからその人が迎えに来る日は、きっとすごく楽しみなんじゃないかな。

だって、ポコくんと同じくらい好きな人なんだもん。」

ポコ:「・・・そうなのか?好きなのに、ずっと一緒にいられないのか?」

空:「そうだね。だからずっと笑顔なんじゃないかな?会えて嬉しくて。」

ポコ:「・・・オレ、ねんちゃんとずっと一緒にいられなかったら、・・・さみしいぞ。」

空:「ねんちゃんとその人は、今ポコくんが考えてる気持ちを、一緒にいられない間、ずっと感じてるんだよ。」

ポコ:「・・・悪いやつじゃないのか?」

ヒメル:「うん。ねんちゃんが好きな人が、悪い人なわけないじゃない?」

ポコ:「・・・ねんちゃん、あいつのこと好きなのか?」

ヒメル:「うん、好きなはずだよ。」

ポコ:「・・・そうか。

オレ、ねんちゃんの好きなやつに・・・、ねんちゃんが一緒にいたいやつに、やめろって言ってたのか・・・?」

ヒメル:「知らなかったんだからしょうがないじゃない?

これから仲良くなればいいんだよ。」

空:「そうだね。ポコくんも一緒に、三人でいれたら、もっと楽しいと思うよ。」

ポコ:「オレも・・・一緒に?」

空:「大好きな二人と一緒にいられたら、幸せも二倍になるはずだからね。」

ポコ:「・・・そうか。」

ヒメル:「ポコくん、その人と仲良くできる?」

ポコ:「おう!仲良くできるぞ!ねんちゃんが幸せなら、オレも幸せなんだぞ!」

ヒメル:「よく言った!さすがねんちゃんのステキなボディーガード!!」

空:「よし、じゃあポコくんには、これを上げよう。」

ポコ:「?なんだ?」

空:「さっき飲んだ、ホットミルクのレシピだよ。ねんちゃんとその人と、三人で飲むといい。きっと幸せな気持ちになるよ。」

ヒメル:「わぁ!いいなぁ♪」

ポコ:「ねんちゃんも飲めるのか?」

ヒメル:「一緒に飲んだら、みんな幸せだよ♪」

空:「首輪に括りつけておくからね。ちゃんと渡すんだよ?」

ポコ:「おう!ありがとな!」

ヒメル:「あっと!その前に、アニマイデアとってあげて!このまま帰ったら、ねんちゃんびっくりしちゃう!」

空:「あ、そうだね。・・・・・・これでよし!」

ポコ:「わん!」






(しばらくの間・数日後)






ヒメル:「あれからポコくん、上手くやってるかなぁ?」

空:「ん?」

ヒメル:「ポコくん!もう!空は!また忘れてる!」

空:「・・・外国の人?」

ヒメル:「数日前に来たじゃない!ねんちゃんを守るんだー!ボディーガードだー!って言ってたポコくん!」

空:「・・・アフリカの人?」

ヒメル:「犬だってば!柴犬!」

空:「あぁ!柴犬でポコくんね!

・・・外国の人かと思ったよ。」

ヒメル:「なんでそんなにすっかり忘れてるんだよぉ!」

空:「ごめんごめん!それで?柴犬のポコくんがなんだって?」

ヒメル:「ねんちゃんとその恋人さんと、仲良くやってるかなってさ。」

空:「あぁ・・・、あぁ!あぁ!!ポコくんね!あの泡だらけになってたポコくんか!」

ヒメル:「そうそう!思い出した?」

空:「うん、忘れるわけないさ!泡まみれで一生懸命ねんちゃんを助けようとしてる様は、かわいかったねぇ。」

ヒメル:「・・・忘れてたくせに・・・。」

空:「ん?何か言った?」

ヒメル:「お約束すぎて・・・。」

空:「お約束?」

ヒメル:「ううん、なんでもない!

ヒメル:ポコくんの様子、見れるかな?」

空:「うん、覗いてみようか。」






ヒメル:「(M)空には、他人(ひと)の人生を覗き見できる力がある。

・・・今回は犬だから、犬生か・・・。

その力は、誰でも彼でも覗き見できる訳ではなくて、一度会って、一緒に飲み物を飲んだ人限定だ。

覗き見する時は、その時その人が飲んだカップで、その人が飲んだ同じ飲み物を準備しなくてはならない。

その同じカップに、同じ飲み物を入れた時だけ、水面に映像が映し出されるのだ。」





空:「さぁ、準備できたよ。」

ヒメル:「うん!早速覗いてみよう!」








ポコ:「わん!」



ヒメル:「あ!ポコくんの顔、泡まみれだ!」

空:「あの時と同じだね。」

ヒメル:「って事は、ねんちゃんに無事レシピ渡せたんだね!」

空:「恋人さんとはどうかな?」




ポコ:「わん!わんわん!」




ヒメル:「あ!三人で仲良く飲んでる!

・・・でも・・・。」




ポコ:「むぅぅぅ。(ぐりぐり)」




空:「・・・無理やり二人の間に割り込んでるね。」

ヒメル:「そこは譲らないんだね。」




ポコ:「わんわん!わぉーーーん!!」




ヒメル:「・・・あははっ!」

空:「・・・ふははっ!」

ヒメル:「仲良しそうで何よりだね!」

空:「そうだね。三人とも、幸せそうだ。」

ヒメル:「ちょっと恋人さんが困ってるけどね!」

空:「ははっ!よかったよかった!」






(しばらくの間)





ヒメル:「空ー!」

空:「なんだい?ヒメル?」

ヒメル:「今日もあったかいねぇ。」

空:「そうだね。」

ヒメル:「こんな日はホットミルク飲みたいなぁ。」

空:「ホットミルク?いいよ。」

ヒメル:「この前みたいに、ふわふわのほわほわにしてくれる?」

空:「あぁ、いいよ。」

ヒメル:「へへっ♪」

空:「ん?なんだい?何かおかしかったかな?」

ヒメル:「ううん!」

空:「?変なヒメル。」

ヒメル:「へへっ。」

空:「さ、この泡を上に乗せて・・・っと。できたよ、ヒメル。」

ヒメル:「うふふっ♪そぉ〜れ!」


(ヒメル、泡にダイブする)


空:「うわっ!何をやってるんだい?」

ヒメル:「こういう飲み方も、たまにはいいでしょ?泡まみれになるの、ホワホワで気持ちいい!!」

空:「おかしなヒメルだなぁ。」

ヒメル:「こういう気分の時もあるの♪」

空:「いつもは『私は大人だから』って言ってるのに。」

ヒメル:「私だって、羽目を外したくなる時もあるの!」

空:「・・・ははっ。それもまたよし、だね。」

ヒメル:「うん!

・・・

空・・・。あったかいねぇ。」

空:「うん、そうだね。」



END